3Dプリンター用金属フィラメントとは?金属素材の種類と強度
2026年01月13日
3Dプリンター用金属フィラメントの素材一覧と強度を徹底解説
3Dプリンターの素材は多岐にわたりますが、中でも金属素材のフィラメントは、その優れた強度と独特の質感から、製品開発や機能部品の製造において注目を集めています。従来のプラスチック素材では実現できなかった高い耐久性や耐熱性、導電性などを備える金属素材は、3Dプリンターの応用範囲を大きく広げるものです。
こちらでは、3Dプリンターで利用可能な金属フィラメントを紹介し、それぞれの素材が持つ具体的な強度特性について解説いたします。
3Dプリンターの金属フィラメントとは

3Dプリンターの技術革新は目覚ましく、造形可能な素材の選択肢も飛躍的に拡大しています。かつてはプラスチックフィラメントが主流でしたが、現在では金属素材をベースとしたフィラメントが登場し、製品開発や機能部品の製造に新たな可能性をもたらしています。
これらの金属フィラメントは、従来のプラスチックでは得られなかった特定の機能性や質感、外観を造形物に付与することを可能にし、3Dプリンターの応用範囲を大きく広げています。
金属フィラメントとは?
一口に金属フィラメントといっても、その種類と製法にはいくつかのパターンがあり、目的によって最適な選択肢が異なります。
・金属粉末配合プラスチックフィラメント
これは最も広く普及している金属フィラメントの形態です。PLA、ABS、PETG、ナイロンなどの汎用プラスチック樹脂をベースに、微細な金属粉末(銅、真鍮、ステンレス鋼、鉄、アルミニウムなど)を配合して作られています。
金属粉末の含有量によって、造形物の重量感、質感、そして後処理による金属らしい外観の変化が異なります。造形直後から金属のような重さや冷たさ、見た目を得られるのが大きなメリットです。
研磨やパティーナ化(緑青化など)といった後処理を施すことで、さらに本物の金属に近い風合いを出すことができます。
・焼結可能な金属フィラメント
このフィラメントは、高密度の金属粉末を樹脂バインダーで固めた特殊な素材です。通常のFDM方式の3Dプリンターで造形した後、「脱脂(バインダー除去)」と「焼結(金属粉末を高温で固める)」という追加の工程を経て、最終的に純度に近い金属部品を生成します。
造形直後の「グリーンパーツ」と呼ばれる状態では、硬化した粘土程度の脆さがあります。しかし、専門的な焼結プロセスを経ることで、素材が収縮し、金属粉末同士が結合して高密度化され、純粋な金属部品とほぼ同等の物性を獲得します。
金属素材一覧

現在市場で入手可能な主な金属フィラメント一覧をご紹介します。これらは主に金属粉末配合プラスチックフィラメントのタイプですが、一部焼結可能なものも含まれます。
銅含有フィラメント
微細な銅粉末を配合しており、造形物に銅特有の赤みがかった色合いと金属光沢を与えます。非常に高い熱伝導性と電気伝導性を持ち、独特の質感とずっしりとした重量感が特徴です。研磨することで光沢が増し、パティーナ化(緑青を発生させる処理)によってアンティーク調の風合いを出すことも可能です。
真鍮含有フィラメント
銅と亜鉛の合金である真鍮の粉末を配合したフィラメントです。金のような黄色みがかった色合いと、アンティーク調の質感が魅力です。銅と同様に研磨やパティーナ化で多様な表情を楽しめます。比較的加工がしやすく、後処理で高い表現力を発揮します。
ステンレス鋼含有フィラメント
ステンレス鋼の粉末を配合しており、高い耐食性、優れた耐久性が特徴です。焼結可能なタイプも存在し、焼結後はほぼ純粋なステンレス鋼(例:SUS316L、SUS17-4PH)の物性を得ることができます。これにより、錆びにくく、かつ機能的な部品の製造が可能になります。
鉄含有フィラメント
鉄含有フィラメントは鉄粉を配合しており、造形物に重厚感と磁性(磁石に引き寄せられる性質)を与えます。湿気や高温環境では錆びる可能性があり、レトロな雰囲気を醸し出します。
アルミニウム含有フィラメント
アルミニウム粉末を配合した、比較的軽量な金属フィラメントです。アルミニウム特有のシルバー色と質感を持ち、軽量でありながら、ある程度の熱伝導性を持ちます。
これらの金属フィラメントは、それぞれ異なる特徴と潜在的な用途を持ち、3Dプリンターの可能性を大きく広げて、より高機能な造形を実現するための選択肢を提供します。
金属フィラメントの強度
3Dプリンターで造形される金属フィラメントにおいて、最終製品の性能を決定づける重要な要素の一つが「強度」です。金属フィラメントの強度は、素材の種類や製法、そして後処理の有無によって大きく異なります。特に、造形後に焼結(シンタリング)という工程を経るかどうかで、造形物が持つ強度は飛躍的に向上し、純粋な金属に近い物性を発揮することが可能になります。
こちらでは、金属フィラメントの強度特性と、強度を最大限に引き出すためのポイントについて解説いたします。
金属含有フィラメントの強度特性
金属フィラメントの強度は、タイプによって大きく異なります。この違いを理解することが、適切なフィラメント選びの鍵となります。
・金属粉末配合プラスチックフィラメントの強度
このタイプのフィラメントは、プラスチック樹脂に金属粉末を混ぜ込んだ複合素材です。造形直後に金属のような質感や重厚感は得られますが、その基本的な強度はベースとなるプラスチック樹脂の強度に大きく依存します。
例えば、PLAベースの金属含有フィラメントであれば、PLAが持つ脆性(もろさ)の影響を受けやすく、ABSベースであればABSの持つ靭性や耐衝撃性が反映されます。
このタイプは、純粋な金属としての高い機械的強度や硬度を持つわけではありません。主な目的は、金属らしい外観や重量感を再現することであり、機能部品として高い物理的強度を直接的に求める用途には不向きな場合があります。
・焼結可能な金属フィラメント(バインダー方式)の強度
このタイプのフィラメントは、高密度の金属粉末と樹脂バインダーで構成されています。通常のFDM方式で造形した後、「脱脂(バインダー除去)」と「焼結(金属粉末を高温で固める)」という専門的な追加工程を経て、最終的に純粋に近い金属部品を生成します。
造形直後の「グリーンパーツ」と呼ばれる状態では、硬化した粘土程度の強度しかなく、非常に脆いという特徴があります。しかし、脱脂・焼結プロセスを完了することで、造形物は劇的に収縮し、金属粉末同士が強固に結合して高密度化されます。これにより、純粋な金属部品と同等の高い引張強度、耐摩耗性、耐熱性、そして耐食性を発揮し、実際の機能部品として使用可能なほどの高性能な強度を獲得します。
金属素材フィラメントの強度を最大限に引き出すためのポイント
金属フィラメントの強度を最大限に引き出すためには、以下の点に注目することが重要です。
・適切な材料の選定
求める強度特性(引張強度、耐熱性、耐久性、耐摩耗性など)に応じて、最も適した金属フィラメントを選定することが非常に重要です。例えば、特に高い強度が必要な場合はステンレス鋼系の焼結可能なフィラメントを検討するなど、用途に合わせた素材選びが基本となります。
・後処理による強化
HIP処理(熱間等方圧加圧)のような高度な熱処理を施すことで、製品内部の密度を高め、残留応力を除去し、より均一で高い強度を実現することが可能です。また、特定の箇所(ネジ穴など)にはインサートなどの後加工を施すことで、その部分の耐久力を向上させることもできます。
・充填率を高める
造形物の内部密度を示す充填率(インフィル密度)を高めることで、完成品の強度を向上させることができます。充填率を100%に近づけるほど内部密度が高くなり、より頑丈な造形物が得られます。
ただし、熱収縮しやすい材質では、充填率を高くしすぎると反りや歪みが発生しやすくなるため、フィラメントの特性を考慮した適切な設定が必要です。
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