シリコーンゴム100% 3Dプリンター「SILICOM(シリコム)」とは? 特長や造形技術を解説
2026年10月26日
シリコーンゴムは、柔軟性や弾性、耐熱性などに優れ、さまざまな製品や部品に使⽤されている素材です。⼀方、
従来の3Dプリンターではシリコーンゴム100%を材料として造形することは難しく、シリコーン製品の試作や少量⽣
産では、金型を使⽤した成形やゴム板の切削加⼯などが⼀般的でした。
そこで注⽬されているのが、シリコーンゴム100%の3D造形を可能にした「SILICOM(シリコム)」です。
SILICOMは、ホッティーポリマー株式会社が開発した⽇本初のシリコーンゴム3Dプリンターです。
液状シリコーンを積層しながらUV(紫外線)で硬化させる独⾃の造形方式を採⽤しています。
今回は、SILICOMの特長や独⾃技術、活⽤が 期待される分野についてご紹介します
シリコーンゴムを3Dプリントする「SILICOM(シリコム)」
■ UV硬化型液体積層造形方式を採⽤
SILICOMは、液状シリコーンを材料として使⽤し、シリコーンゴム
100%の造形物を製作できる3Dプリンターです。
⼀般的な3Dプリンターでは、熱可塑性樹脂や光硬化性樹脂などが多く使
⽤されています。⼀方、SILICOMでは 耐熱性・ 耐薬品性・ 耐候性などに
優れたシリコーンゴムを造形できることが⼤きな特徴です。
また、SILICOMでは、液状シリコーンを積層し、UV光を 照射して硬化
させる「UV硬化型液体積層造形方式」を 採⽤しています。

⼀般的な3Dプリンターでは材料同⼠をただ積層するだけなので積層間の強度は強くありません。
⼀方、SILICOMでは 積層後にUV照射を⾏い架橋反応で硬化させます。
架橋反応とは高分子同⼠を化学結合で連結し、三次元網⽬構造を形成する反応です。
この反応により積層間で分子同⼠を結合し、成形品に近い強度の造形品を得ることができます。
これにより、従来は金型や複数の⼯程が必要だったシリコーン製品の試作や少量⽣産、複雑形状の
部品製作など、新たな製造方法としての活⽤が期待されています。
■ シリコーン専⽤スライサーソフトで造形をサポート
3Dプリンターでは、3Dデータを積層⽤のデータへ変換する「スライサー
ソフト」が重要な役割を果たします。
特に液状シリコーンは柔軟な材料であるため、材料の吐出量や積層条件な
どを適切に制御する必要があります。
SILICOMでは、AIを搭載した⾃社開発の専⽤スライサーソフトを採⽤しています。
形状データや使⽤する材料などの条件に応じて、これまでに蓄積された
データを活⽤し、適切な造形条件を導き出します。

さらに、造形結果を評価・入⼒する学習評価システムも搭載しています。
造形結果の評価を学習データとして蓄積・反映することで、造形条件を継続的に更新し、より安定した造形品質の
実現を⽬指しています。このような専⽤スライサーソフトとAI技術の活⽤により、シリコーンゴム特有の造形条件を
適切に制御し、造形速度と造形精度の向上をサポートします。
■ 独⾃技術「架橋接合®」による複雑形状への対応
SILICOMの⼤きな特徴のひとつが、ホッティーポリマー株式会社の特許取得技術である「架橋接合®」です。
シリコーンゴムの3D造形ではサポート材無しで造形するため、形状によって⼀度にすべての形状を造形することが
難しい場合があります。
「架橋接合®」は、シリコーン材料の架橋特性を利⽤して造形物を接合する独⾃技術です。
3Dモデルを造形に影響のあるオーバーハング部分が綺麗に造形できるように分割・回転させます。
分割モデルを造形した後に分割⾯に材料塗布して架橋接合を⾏い、造形品を完成させます。
この技術を活⽤することで、⼀体造形だけでは対応が難しい形状にも柔軟に対応でき、シリコーンゴムの
3Dプリントにおける設計⾃由度を高めることができます。
複雑な形状や内部構造を持つ部品など、従来の製造方法では製作が難しかった製品への応⽤も期待されています。


■ 硬度や色調など用途に合わせた材料選択
SILICOMでは、⽤途に応じて様々なシリコーンゴム材料を選択できます。
①硬度(0~60°に対応)
②着色(多色・特注色対応)
製品に求められる柔らかさや弾性に合わせて材料を選択可能。
従来の成形方法では難しい、硬度20°以下の 低硬度での造形も可能です。


硬度 10°
(JIS A 10°)
人肌のように柔らかい
超軟質ゲル材 0°
ナチュラル(透明)のほか、⽩、黒、⻩、赤、⻘などの色調に対応。
その他の特注色調にも柔軟に対応できます。


③シリンジ方式(簡単な供給・材料開発)
材料はシリンジ方式で供給するため、段取り替えが容易です。材料開発にも向いており、液状シリコーンに機能性材料等を配合して造形することも可能です。幅広く⾃由度の高い材料開発・プロトタイピングに対応します。
■段取りの流れ

SILICOMの活用が期待される分野
SILICOMは、シリコーンゴムの柔軟性や弾性、さまざまな硬度に対応できる特性を活かし、製品開発や試作、
機能評価、少量⽣産など幅広い分野での活⽤が期待されています。特に、複雑な形状や中空構造、柔軟性が
求められる部品など、従来の成形方法では製作が難しい形状の造形に適しています。
医療分野では心臓・⾎管・関節包などのシミュレーション⽤のモデル、⾃動⾞分野では電気⾃動⾞などで近年
使⽤が増えているワイヤーシールやコネクタシールなどのシール部品、また、ロボット分野では3D造形ならではの
中空形状でエアーを送り込み、対象物に合わせて変形するロボットハンドなどへの活⽤が進んでいます。
3Dプリンターなら、3Dデータ変更することで設計変更にも柔軟に対応でき、金型を新たに製作することなく形状を
変更できます。そのため、製品開発の初期段階における試作から、機能確認、少量⽣産まで、開発期間やコストの
削減につながるデジタルものづくりの⼿段として活⽤が期待されています。



心臓モデル
※手術練習、説明用
カキフライ把持向け
ロボットハンド
自動車向け
ワイヤーシール
シリコーンゴムの可能性を広げる3Dプリンター
シリコーンゴムは、柔軟性や弾性、耐熱性、耐候性などに優れ、さまざまな分野で活⽤されている素材です。
⼀方で、従来の製造方法では金型が必要となる場合が多く、複雑形状の試作や設計変更、少量⽣産などには
課題がありました。
SILICOMは、シリコーンゴム100%の造形を可能にする3Dプリンターとして、UV硬化型液体積層造形方式や
AI搭載の専⽤スライサーソフト、「架橋接合®」などの独⾃技術を採⽤しています。
また、硬度0~60°の 幅広い材料に対応し、低硬度のシリコーンゴムやさまざまな色調、機能性材料を配合した
材料の造形にも対応できます。
これらの技術により、従来のシリコーン成形では対応が難しかった複雑形状の造形や、試作・少量⽣産、材料開発
など、シリコーンゴムの新たな活⽤方法を広げることが期待されています。
SILICOMは、シリコーンゴムの可能性をさらに広げ、製品開発における「つくりたい形を、より⾃由に、より
スピーディーに形にする」ための新しい製造⼿段として、今後さまざまな分野での活⽤が期待される3Dプリンター
です。

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